私どもが手術、日常の診療全般を通じて大切にしていることを述べさせていただきます。まず、日常の診療において常に患者さんの視点に立つこと、自分の家族ならどうするかと考えるようにしております。心臓血管の手術を受けることは、たいへんな決断です。経験したことのないことばかりで、不安でいっぱいであると思います。私どもはできるかぎり分かりやすい言葉で治療方針をご説明し、患者さんと一緒に病気に立ち向かっていきたいと思います。
高齢な患者さんやリスクの高い患者さんが増えた現在、治療の途中で判断に迷うことも少なくありません。その時忘れてならないのは、手術の目的は、手術を受けていただいた患者さんが健康で有意義な生活を取り戻していただくことだということです。どんなに難しい手術が成功しても、患者さんが日常生活もできないほど体力を消耗してしまっては意味がありません。よりよい判断をするためには、患者さんをいろいろな視点からトータルに捉えることが大事と考えております。
また確かな技術は、手術を安全確実に遂行するために必要不可欠です。現在の心臓血管外科は、材料や臓器保護の方法がすばらしく進歩し、私が手術を始めた30年前にはとても手術適応にならなかった患者さんたちも手術をされて元気に退院されていきます。しかし一方、確かな技術がないとけっしてよい結果には結び付きません。確かな技術はたゆまぬ修練によって身につきます。私どもは、安全で確実な手技、新しい技術の修得につねに貪欲かつ真摯でありたいと思っています。
心臓血管外科の治療はチーム医療です。手術前は循環器内科医が診断し、院内各科に診断と治療の協力を仰ぎます。手術中は麻酔科医、人工心肺技士、手術看護師と緊密に協力します。手術後は集中治療室・病棟看護師、リハビリ技士、臨床工学技師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど多くの人間が診療にかかわります。私どもは、院内各部署と緊密に連携することにより、安全かつ効率的で、愛のある、ハイレベルの治療を提供できるように全力を尽くします。
部長 宮入 剛
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miyairi@marianna-u.ac.jp